イャオエコの図書館 アリューザ・ガルドの住人

§ 一. 人間

 アリュゼル神族によって創造された、意志を持つ存在。
 世界を創造、司る神々とは異なり、アリューザ・ガルドの運命を切り開く役割を有している。

§ バイラル

 諸種族――人間達の中で最も繁栄し、勢力の強い存在。
 狭義では人間とはバイラルをさす。寿命は七十歳前後と、他種族と比較して短い。
 だが環境に対する適応能力の高さから、アリューザ・ガルド各地方で生活をすることが可能である。
 ホルスびと、ベルドニースびと、ラクーマットびと、ラディキアびと、カラカ・ダーナびと、ライキフびと、というう六つの氏族に大分され、各々髪や肌の色が異なる。

 もともとは“土の界《テュエン》”の加護を持つ民――セルアンディルであった彼らだが、遙か昔、“扉の時代”における罰により大地の力の加護を失い、バイラルとなっている。
 アリューザ・ガルドにおいて、セルアンディルはもはや存在しない。
 一方、事象界との繋がりを持たないことが強みとなることもある。それは魔力の強さだ。自らの内包する“原初の色”を、純粋に魔力としてのみ抽出できる。“魔導の時代”という魔法全盛期においてバイラルの魔法使いが多かったのはこのためである。

ホルスびと
 “扉の時代”において最勢力を誇った。セルアンディルの中でも純血氏族。
 青みがかった黒い髪と、青い瞳を持つ白色人。
 現在は少数氏族になっており、主としてエヴェルク北部のカダックザード地方を居住地とする。

ベルドニースびと
 ホルスびとから派生。金髪と、青、もしくは緑の瞳を持つ白色人。
 主としてエヴェルク大陸東部のフィレイク地方、ユードフェンリル大陸西部のガルディス地方に住む。

ラクーマットびと
 ベルドニースびとから派生。金髪と、青、もしくは緑の瞳を持つ褐色人。
 長身。主としてエヴェルク大陸中部シャルパ地方、ドゥータル地方、フェル・アルム島に住む。

ラディキアびと
 ラクーマットびとから派生。海洋氏族。緋色の髪を持つ褐色人。
 筋肉質。主としてラディキア群島を中心とした島々に住む。

カラカ・ダーナびと
 ホルスびとから派生。黒い髪と茶色もしくは黒の瞳を持つ白色人。
 主としてユードフェンリル大陸に住む。

ライキフびと
 フェル・アルム創造において、ホルスびとから派生。青みがかった黒い髪と茶色の瞳を持つ白色人。
 主としてフェル・アルム島に住む。

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§ アイバーフィン

 “風の界《ラル》”より風の加護を受ける銀髪の種族。
 “翼の民”と称されるように、彼らは空を飛べるのだ。ただしそのためには“風の界《ラル》”での試練にうち勝たねばならない。(これは“扉の時代”におけるドゥロームとの戦争により罰を受けたためである)
 その試練の厳しさゆえ、翼を持たない者も多く存在する。もっともこれがアイバーフィンの社会において差別されるものではない。
 彼らの翼は純白であるが物質的なものではないため、物質界であるアリューザ・ガルドでは見ることは出来ない。しかし、滑空時には時折光り輝く翼が見える。

 寿命は二百歳前後。五十歳で成人を迎え、老化は百八十歳くらいから始まる。
 主に高原や山地に居を構えるが、バイラルの国で生活する者も多い。
 エシアルルとは“劫火の時代”のアイバーフィン大移動期以来、交流を深めている。また、ドゥロームに対しての遺恨は今ではほぼ失っている。

§ エシアルル

 “森の護り”と呼ばれる種族。水の加護を有するとされる。
 深緑の髪と、抜けるような白い肌を持ち、額には生まれながらにして、小さな深緑の水晶が埋め込まれている。
 物事の継承については古来より口頭にて行っており、現在でも大多数のエシアルルは文字を解さない。

 エヴェルク大陸のアブロット・ウォリビア両地方に住む。彼らが森を抜けて、バイラルらの前に姿を現すのは稀である。
 “世界樹”に住まうディトゥア神族の森の司、ファルダインを王と崇めている。血縁関係はない。

 他種族と比較するとエシアルルは精神体としての存在が強く、アリューザ・ガルドに生を受けてから二百年ほどすると肉体と精神を分離させ、肉体を眠りにつかせる。(これは死を意味するものではない)
 その後、魂は“次元の狭間”に存在する“慧眼のディッセの野”に赴き、百年を過ごす。そしてアリューザガルドに戻り、再び魂を肉体に宿すのである。
 エシアルルはこれを幾度と無く繰り返すため、不老の存在である、と言われる。
 もっとも人間であることには変わりないため、死は避けて通れない。寿命はおおよそ八百歳ほどとみられる。

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§ セルアンディル

 土の加護を受けていた種族。今は存在しない種族である。(後述)
 大地の龍脈より力を自ら取り込むことによって怪我や病気を瞬時に癒せる。
(“土の界《テュエン》”に赴く必要があるが、門の所在がしれないため不可能となっている)

 セルアンディルはもはや存在しない。
 なぜなら彼らは“扉の時代”の部族内紛、その結果として“ハウグィードの戒め”を受けて以来、大地の力を失ったからだ。
 力を失った彼らはしかし“バイラル”(結束せし力、の意)を名乗り、現在に至っている。

 バイラルがセルアンディルに転化できる方法として知られる唯一の方法は、土の力を持つ聖剣、ガザ・ルイアートの所持者になることだ。かつてのガザ・ルイアート所持者にして冥王ザビュールを封じたレツィア・イナッシュは、バイラルからセルアンディルとなっている。

§ ドゥローム

 炎の加護を受ける種族。
 彼らの祖先は龍《ドゥール・サウベレーン》であり、ドゥロームとは龍が人化を遂げた種族であるのだ。
 古くは翼を有していたが、アイバーフィンとの大戦“天空の会戦”による戒めによって“炎の界《デ・イグ》”での試練にうち勝たない限り、翼を持つことはない。試練に打ち勝った者を“炎の司”と呼ぶ。
 翼のかたちは龍のものと同様。翼はアイバーフィンと同様、物質として存在するものではない。またアイバーフィンほど空を器用に飛ぶことは出来ない。

 かつての翼を持ちし者の誇りとして、山地に居住する者がいる一方、航海術に長けているために海沿いに住む者もいる。だが、聖地デュンサアルに住む司の長達は、海に住む者達を同列に扱おうとしない。“ウォンゼ・パイエ《海蛇の落人》”という蔑称があるほどだ。
 これは“天空の会戦”の戒めによって“炎の界《デ・イグ》”へ転移する扉を失った時代に起因するという。
 ドゥローム達は放浪の末にユードフェンリル大陸南部のデュンサアルにたどり着き、ついに新たな扉を見つけるに至った。だが、そこにたどり着くまでに定住の地を海に定めた者も多かった。
 デュンサアルのドゥロームは、海に住んだドゥロームを、山への郷愁を忘れて放浪を止めてしまった落伍者と捉えるようになってしまったのだ。

 “炎の司”のなかでも、龍王イリリエンに認められ、試練に打ち勝った者は龍化できるようになる。
 ただし、今までの歴史の中で龍化したドゥロームは、朱色《あけいろ》のヒュールリットのみであるとされる。

“炎の司”
 “炎の界《デ・イグ》”での試練を乗り切り、龍の翼を得た者のこと。
 試練を通じて炎の理《ことわり》を知り、炎の力を自在に操れる。
 “炎の司”はドゥローム族の中でも高い地位を獲得することになる。これは、風の司だからといって特別な待遇を受けないアイバーフィンとの大きな差異だ。
 炎の司の中でも、ドゥロームの聖地デュンサアルに生を受けた、もっとも力の強い司のことを“司の長”と呼称する。
 長達は複数の人数で構成されており、バイラルで言うところの王族に値する権力を持つ。世襲制ではないものの、長の血を引く子供も強い力を持つことがままあるため、結果として子供達へと継承されることが多い。

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