イャオエコの図書館 超常の存在

§ 七. 龍《ドゥール・サウベレーン》

 神でも人間でも魔族でもない龍達こそ、アリューザ・ガルド驚異の存在である。
 アリューザ・ガルドの創世時代“色織りの紀”において、異次元よりアリューザ・ガルドに姿を現した、巨大な種族だ。三ヶ月に渡り燃え続けた巨大な火柱の中から現れた最初の龍こそ、深紅の“龍王”イリリエンである。彼ら龍達は、もともとは異次元――“炎の界《デ・イグ》”を出自とする。
 龍王イリリエンはアリュゼル神族に、火・土・水・風の事象界の存在を教えたのだ。そして物質界アリューザ・ガルドと各事象界は強固に繋がり、相互作用を及ぼすこととなる。
 それ以来龍達は神々に敵対することなく、独自の力によってアリューザ・ガルドや“炎の界《デ・イグ》”に在り続けている。

 龍達は人間を超越した知性と魔力を持つが、それを何かのために行使する、という事は稀である。
(人間とは価値観が大きく違うようである)
 人間に対しては中立的態度を示すことが多い。
 彼ら龍は、自分の知識や、財宝と対話して暮らし、めったなことでは他の存在を寄せ付けない。生息地も人里を離れた山や、孤島などにひっそりと暮らしているという。  龍達の言葉は、それ自体が魔力を帯び、何の警戒もなく人間が接すると、たやすく虜になる。
 龍人種であるドゥロームは、幾多の困難な試練の果てに、龍となる資格を得る。

 龍《ドゥール・サウベレーン》に姿形がそっくりな種族として、竜《ゾアヴァンゲル》があるが、まったく別の存在であり、風貌が似てることもあって龍達は竜を見下している。
 (竜はたしかに強大ではあるものの、普通の生物としてアリューザ・ガルドに存在している)

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